リコーダーの音が鳴る仕組み

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吹いて音をだす楽器はたくさんありますが、リコーダーほどすぐに音が出せる楽器はあまりないと思います。サックス・フルート・トランペットなど、どれも最初に音をだすところから難しいと思いますが、リコーダーは吹けば誰でも音が鳴ります。ここでは、その仕組みを解説していきたいと思います。

エアリード

吹きもの系には、トランペットのように唇を震わせて音をだすもの、サックスのようにリードを振るわせて音をだすもの、フルートのように空気を直接振動させるもの(エアリード)などがあります。リコーダーはこのエアリード族に入ります。

では、どうやって直接空気を振動させているかですが、「フルート音が鳴る仕組み」でも記載した図ですが、流体の中に何か障害物を置くとその後方に渦が交互にできるという「カルマン渦」という現象で、空気が振動します。

矢印が流体で、黄色い丸が障害物だと思ってください。この流体のスピードがあるスピードを超えると、障害物の後方にカルマン渦ができます。これは、流体のスピードが上がるほど、カルマン渦も細かくでき、カルマン渦の振動が速くなります。このカルマン渦の振動が空気の振動となります。

では、リコーダーの場合はどうやってこのカルマン渦を作り出しているのかを見ていきましょう。

リコーダーは、下図に書いたような構造になっており、息を吹き込むと、「ウィンドウェイ」という細い道を通って、「ラピューム」という障害物に当たる構造になっています。このラピュームに息が当たってカルマン渦ができ、空気の振動が発生する仕組みです。

おなじエアリード族であるフルートの場合、このウィンドウェイが無いため、これをアンブシュア(唇の形)などで自分で調整する必要があり、最初から音を出すのが難しいのです。

ただ、音を出すのが簡単な反面、このウィンドウェイが固定のため、息による表現の幅が狭くなります。ビブラートやフラッターなども可能ではありますが、明るい音や落ち着いた音など、フルートに比べると表現できる範囲が狭くなります。

音程のコントロールは

音程のコントロールは、他の管楽器と同じで、穴を押さえたり離したりして、菅の長さをコントロールします。共鳴しやすい音の波長にコントロールすることで、その音が増幅されて音として聞こえるようになるという仕組みです。

ここで少しだけエアリードの話に戻ると、息は単に空気を振動させればいいというわけではないです。共鳴する音の周波数に近いカルマン渦の振動を作ってあげることで音が出やすくなります。フルートほどでは無いですが、息のスピードも音程によって意識する必要があります。低い音は息のスピードを遅く、高い音は息のスピードを速くします。これを意識するだけで、低い音から高い音まで出しやすくなります。

フルートのリコーダー化

NUVOというプラスチックフルート(下の写真)がありまして、20000円ぐらいで購入できるのですが、これにはファーストノートリッププレートという魔法のアイテムがついていまして、これを装着すると、リコーダーと同じ「ウィンドウェイ」が使えるようになり、何も考えずに吹くだけで音がでます。

NUVOプラスチックフルート
ファーストノートリッププレート
装着した写真

詳しくは、プラスチックフルート」の記事にも記載しております。おもちゃではなく、ちゃんとした楽器です。フルートは最初、音をだすのがとても難しい楽器でもあります。付属のファーストリッププレートを使うと、リコーダーのように演奏できて、指使いだけでも楽しく練習できます。指使いに慣れてきたら、ファーストリップノートを外して息の練習をしていくという、苦しみを二段階に分散させる良い手段になるかもしれません。

詳しくは「プラスチックフルート」の記事にも記載しております。