フルートのチューニング(温度変化編)

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非常に寒い日が続いておりますが、フルートのチューニングにも影響がでてきました。気温が下がると音程低くなりますね。チューニング合わせるのが大変です。気温が変わったらどれぐらい頭部管を調節すればいいかのお話を書きます。

まず、なぜ温度でチューニングが変わるかですが、音速が空気の温度によって変わるからです。音速は340m/sぐらいだということは学校で習うと思いますが、正確には、

音速 = 331.5 + (0.6×摂氏温度)

でして、温度が1度上がるごとに0.6m/s速くなります。音速340m/sというのはだいたい気温が15℃の時の速さです。

フルートの音が鳴る仕組みは、管の中で音が反射してできる定在波によって音が作られるのですが、音速が速くなるとより速く反射するため、秒間の振動数が上がります。つまり周波数が高くなります。周波数が高くなると音程が上がります。ですので、音速が速くなると音程が上がり、音速が遅くなると音程が下がります。

では、次にフルートの頭部管でのチューニングですが、写真で説明します。

頭部管を中に入れると音程が高くなり、外にだすと音程が低くなりますね。これは管の長さを調節して、音波が反射する距離を調節しています。管が短くなれば秒間の反射回数(振動数)も上がり、音程が上がります。同様に管を長くすれば音程が下がります。


温度によって頭部管をどれぐらい調節するか

では、温度変化によってフルートの音程がどうなるのか計算していきます。

まず、多くのフルートは、頭部管を5mm程度抜いたところで、低音ラの音が摂氏20℃環境で442Hzになるように調節されています。これを図で説明します。

まず、摂氏20℃の音速は、331.5 + (0.6 × 20)で、343.7m/s になります。

この音速で、442Hzの振動をさせるためには1回の振動の波長が、343.7m ÷ 442で、約77.8cmとなります。これが低音ラの波長になります。フルートは開口管のため、上の図で示すように半波長で反射するポイントが基本振動となりますので、77.8cmの半分の38.9cmが管長になります。(この管長はアンブシュアの形やポジションでも変わりますで、口でもある程度音程をコントロールできます)

では、気温が10℃下がって、摂氏10℃になったらどうなるか考えてみます。

まず、音速が、331.5 + (0.6 × 10)で、337.5m/s になります。この音速で低音ラの442Hzを振動させるには、337.5m ÷ 442で、約76.4cmとなります。半波長は、38.2cmとなります。

気温20℃の時が38.9cmだったのに対して、気温10℃の時は38.2cmで442Hzの音がでるようになるため、管の長さを7mm短くする必要があります。(もともと5mmしかでてないですが。。)

実際に影響するのは外気の温度ではなく、管内の空気の温度なので、吹いているうちに温かくなるので、10℃も下がることは無いと思います。でもやっぱり、寒い冬に外でフルートを吹くと、はっきりと音程が下がっているのがわかりますね。

温度が1度下がったら、頭部管を0.7mm入れる。

温度が1度上がったら、頭部管を0.7mm出す。

というイメージで大丈夫だと思いますが、その場その場でピアノやチューナー等の音で合わせるのが大事ですね。室内で演奏する場合はそれほど変わらないと思いますが、屋外だと夏と冬で結構変わるのでご参考になれば嬉しいです。

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